確かに20代も後半になると、新しい曲本当にさらわなくなっていくんだな、と思った。なんとなく自分の頭の中で言葉にならなかった考えが、今日のおさらい会の開催をもって少しまとまったように思う。
散々言われ尽くしているが、現代におけるクラシック音楽がおかれている状況は絶望的だ、絶望的というよりも、テクノロジーが発達しているので、もっと簡単により面白い音楽が無数にある状況なのでわざわざクラシック音楽を選ぶ理由がない、というのが正確な評価だろう。
本当に自分が仕事を作りにいかないと独奏曲など演奏する機会には当たらずに一生を終わるのだ、ということを身を以て実感してきた。
私だって曲が好きで、楽器を吹くのが好きで、クラシック音楽が、現代の音楽が好きでやっていると思う。そういう気持ちが自分の根底にあるんだと信じてやっている。しかしその気持ちだけで演奏を続けられるわけがない、そしてそのような現実に私よりも早く気づいて、自らの他の形の幸せを探して独奏という世界から離れていった仲間もたくさんいた。
私はこの楽器の、この音楽の何を愛して演奏しているのだろうか。
ときどき、私は好きでやっているのではなく、なんとなく漠然と「年老いたときに輝く技術や音が無い」ことを恐れていて、その状態を回避するくらいの消極的な理由でしか音楽が出来ていないのではと思ってしまう。
今日はEscaichのLutteとGarropのPhoniex Risingを演奏した。
Lutteに関しては自分自身のスラップタンギングとノーマルタンギングのより素早いチェンジのコントロールを課題として、それ自体は確かに出来てきたが音楽そのものにつく「決闘」のイメージに対していささか音色感が貧弱すぎた感じがする。息を吹き込むだけでどうにかなるものでもないということを反省した。
Phoniex Risingはあまり日本ではまだ演奏されていない2016年の作品だが、ソプラノサクソフォンの無伴奏コンサートレパートリーとして今後人気が出てくると思う。吹きやすい作品では無いが、十分に華やかでいろんな方に楽しんでいただけるレパートリーになると思う。
古いリードを使ってコントロールを優先して選んでいった結果、リードコンディションが悪いものだと見極めがつかずだいぶん音を外した演奏になってしまった。これまた反省。
しばらく新曲の譜読みが続く。
楽しんで準備していくようにしたい。
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