調査1
- Yuki Yoshio
- 8月9日
- 読了時間: 4分
中高生を教えていると、これはいくらどう頑張っても上達は難しいんじゃないか、と感じてしまう瞬間というものはたくさんある。
その中でも今回は特にモノにまつわる部分の話を書いてみようと思う。
勉強していて点数を伸ばすために必要なことを考えてみよう。
良い教師、ノート、筆記用具、参考書(教科書)、勉強時間、環境、あるいは仲間なんてのを付け加えてもいいかもしれない。
音楽に置き換えると?
良い教師、ノート(楽譜)、ノート(練習記録)、筆記用具(書く意味で)、筆記用具(音を出すという意味で楽器)、参考書(教則本あるいは練習曲集)、勉強時間(練習時間)、環境(練習場所)、仲間。
モノ…ということは筆記用具の部分だ。
勉強ならば鉛筆だけ準備すればいいが、音楽となれば「鉛筆」という楽器はさらに、本体、マウスピース、リードetc.と細かくカテゴリ分けされる事になる。
折れた鉛筆では文字が書けない。学習が進められない。
薄すぎる鉛筆では強く書いても薄いままだ。
同じく。壊れた楽器で上手く練習は進められない。やる気もなくなってしまうだろう。
いくら力を込めて演奏しても、強い音が出ないのならばそれは非常にもったいないことだ。
そういう意味で楽器の演奏環境を整えることに注力するのは大真面目に大切なことだ。もちろんある程度やりくりするということも場合によっては出来ることもあるかもしれないが、それはある程度熟練した技術や経験がある人たちかその経験を以てしてやりくり出来ることであり、中高生くらいの経験度合いでは難しいだろう。
これは関係ないイギリスのバス。本当に赤く本当に2階建て。
そんなことを最近思い、生活の合間を縫って「安価で信頼に足りるマウスピースや楽器はないだろうか」と考えるようになった。
バンドレンのリードもアルトサックスなら5,000円。
マウスピースなんて、25,000円くらいするだろう。そりゃ確かに買えない、という話になる。
野球ならグローブ必要だよね、ってすぐ分かるけれど、(実際穴の空いたグローブのような楽器や小物は本当に多い)楽器はやっぱり日本人になじみがなさすぎる。
ピアノのようにそれさえあれば音が出る、という意識の方が大半だろう。
ここの意識は少しずつ変えていかないといけないが、音楽に触れずに生活する人々の方が大半なのだ。急に何万円、あるいは楽器に至っては何十万円というお金の出費が起こることの方が、感覚的には受け入れられないことだろう。
メルカリで中古のマウスピースを個人的に数本仕入れて吹いてみる、みたいなこともここしばらくやっているのだが、やはりちょっとこれもリスクが高すぎる。
さすがに学校の数十年前のモノよりは劣化が少ないかもわからないが、それでも「かってよかった!」のマウスピースには出会いにくい。プロ選定のマウスピースの中古品とかならまだマシなのかな、でもそういうの高く売り出してくるから正直それなら新品をってなるよね。
経験上、特に音楽において、お金さえかければ解決できることの方が多い。それゆえに音楽は貴族の嗜みみたいなイメージも持たれるのだろうが、それほどに楽器を作るひと、音出しの仕組みを作る人たちの技術は賞賛され、尊敬されるべきものだとも思う。野球グローブが160km/hの球速の球を安全に受け取ることが出来るように、車という技術の結晶が安全に人を遠くに運ばせられるように。
もしこの記事を読んでいる生徒がいて、もしもまだ自分の楽器周りに悩みがあるようなら、詳しいであろう人に1度見てもらうことは大切だ。
ほぼ8割方、楽器に何かある、と言われると思うし、それゆえにお金がかかる話もされると思うけれど、でも本当に多くの人がそういう状態のものをいっつも使っている、という状態になっていることを知っておいて欲しいと思う。
自分も指導上お金を使いなさいみたいな言い方は基本的にはしない、一緒に方法も考えられる限り考えよう。
ただ、まあ自分を始めとして、いわゆる貧乏なプレイヤーはめちゃくちゃいる。笑
その貧乏人たちがお金を使うしかない、と言うのは、それ自体がある種の説得力を生むとは思う。
ただ、絶対に誤解して欲しくないことは、「いいもの=フラッグシップ」だとか「高級モデル」とか「新品」ではない。
状態の良いもの、プレーヤーが必要としているスキルに対して十分に仕事をしてくれるもの、そういう必要なレベルに対して適切なモノを選べば賢い音楽活動も十分可能だ。浪費は企業と物好きなプレイヤーだけがやればいい。
私が心配しなくとも彼らは上手にお金を使い、さらなる進化の努力をしているはずなので…
とにかく、我々プロフェッショナルは、悩める生徒たちに対して適切な楽器や適切なモノの提案をする準備がある。困ったらぜひ声をかけてみてほしい。




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