レッスンエチュード
- Yuki Yoshio
- 8月5日
- 読了時間: 3分
私の個人レッスンの内容は、生徒の希望に合わせて、目指す地点や目的に応じた選曲を行なっている。当たり前の内容かもしれないが、具体的に特色を上げるとすれば、取り扱うエチュードの内容は他の教師よりも多くバリエーションを揃えている自負がある。
多くのサクソフォニストは、
ラクール:50の優しく漸進的な練習曲
クローゼ:25の日課課題
ベルビキエ:18の練習曲
ブレマン:20の旋律的な練習曲
テルシャック:日課技術練習曲
フェルリング:48のエチュード(ミュールによる補訂版)
あたりを必修の内容とし、これを生徒に受け継ぐ形で「定番」の型を会得しているように思う。ここ数年はボザのファンタジーカプリスが日本管打楽器コンクールの課題になっているので、それも音大生の定番へとのしあがるかも。レッスンで生徒たちに振るような課題では、ない。難しいから…。
数年前から自分の生徒にどのようにテクニックを会得してもらうか考えた時に、既存のエチュードでは思っているような目的が達成できない場合がある、と仮定し、とりあえず手当たり次第多くのエチュードに触れながら生きてくるようにしていた。
最近のレッスンで効果がかなり出やすいと思ったのは、松浦真沙:40のメロディック・エチュードだ。初見を前提としている練習曲集で、2重奏版を準備するとデュエットも可能。
最初は初見前提のためかなり易しいものになっているが、1曲1曲が短くフィードバックの質も濃くしやすく、またそれぞれの楽曲にクラシック音楽における最重要事項である「様式」を検討することが出来るのも非常によい。私の大切にしている音楽への考え方と親和性が高いのかもしれない。
あるいは、デクーエの35のエチュードもこれまたテクニック的に大変嫌がられる動きの多いエチュードだが、腕周りの柔軟性とレガートクオリティ、そしてテクニックの質を決める発音のバリエーション練習を上手く使うと大きな効果が見込めるような気がする。
デクーエはさらっている人はさらっているので、知る人ぞ知る…みたいなエチュードなのかな。でもこれさらってみた人は絶対みんなにオススメすると思う。吹きにくすぎて。
こうやって考えてみると、意外にエチュードの技術会得で大切な内容は曲の「短さ」なんじゃないかな、と思うようになってきた。一曲ずつが長いとどうしても全てを通す、というところに意識が行きがちになってしまい、音楽的密度がどうしても下がる。ラクールの50のエチュードすら短いものは1分くらい、3分くらいの楽曲も後半に入ると増えるだろう。
でも、全体は30秒もあれば終わってしまうようなエチュードなら、何をさらえばいいのか、という課題も明確になるし、さらう場所が少ない分考えられることも増えるように思う。
最終的に、どれくらい音楽的表現を深く検討できるか、という部分を鍛える・慣れる・説得力を持たせるために技術の練習があるわけなので、そういう意味でタスクが広く浅くならないような工夫のあるエチュードの方が効果が出やすいということだろう。
とりあえず自分も色んな練習を自ら行い、調子をしっかり整えられるものとか、自分をもっと伸ばせるようなエチュードというのは常に探すようにしていきたい。


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